ブログ 2012/02/13

質量保存の法則

「オリエンから企画、制作、納品を経て、
 キャンペーン開始後に世間の反応が出ること
 までの間に起きる苦労と喜びの総和は同じである」
  
とは、先人の定義した「広告における質量保存の法則」である。
   
多くのクリエイターは、脳みそを絞り出し、
悶え、七転八倒して面白い案を考えている。
(皆、そんな風には見せないが)
      
しかし、面白い案の宿命で、
打ち合わせ、プレゼン、制作などの関所を通る度に、
大人の事情、局の考査などが入り、角がどんどんと削られていく。
角を残すためには、覚悟を決めて戦うしかない。
チーム内外で、諦めの悪い「面倒な人間」になるのだ。 
面白い案は、世の中に出ると評判になるから。
そして、すべての苦労を昇華させてくれるから。
                 
一方、安全な案は、いろんな関所をすんなりと通るかもしれないが、
最後に、世間ではなんの評判もおこさない。
そして、そのことは、クリエイターを一番傷つけ、
クリエイターとしての信頼を失うことに直結する。  
                 
苦しい時こそ、チャンスなのだ。 
靴の底と地面の間に摩擦があるから、我々は歩けるのだ。         
摩擦があるから、前進できる。       
                        
もし、前へ進めない状況なら、
そこに自分で摩擦をつくるしかない。

ブログ 2012/02/06

約束

約束。 
   
どんな約束が最も強いのか。
    
外資系の会社に転職して一番驚いたのが、
すべてのやり取りを証拠として残す姿勢だった。    
メールは基本的に全保存。
クライアントとの会議後は、社内外にコンタクトレポートを提出。
見積もりも、提出するだけでなく、
承認のサインをもらうまで次の作業へ進めない。  
(今では普通のことになった)
         
目からウロコであった。
実際、そのお陰で、問題が解決できたこともあった。  
 
    
さて、住宅に関して。
十数年前、政府は新築住宅に関して、
建築業者の瑕疵に関して「10年間の保証義務」を決めた。

当時、住んでいた地元の工務店の親方が言った。

「我々は、地元で商売してるから、
 店がなくならない限り、一生涯、面倒見るのが当たり前です。
 今度の法律は、逆に、10年間しか面倒見なくていいってことです。
 我々からすれば、国が無責任な建築業者を認めてるようなもんです」と。 
  
     
結論。
ビジネスにおいては、やはり、書面における約束が一番強い。
これは西欧のビジネス文化だが、
この十数年間の大企業の不正の連鎖を見る限り、
日本で性善説はもう通用しない。
        
そして、書面に記すことが一般的になったおかげで、
「書面にしない限り、約束を破っても大丈夫」と解釈する人が増えた。     
             
だから、人間関係においては、口約束が一番強い。
口約束を守る人が一番信頼できる。          
これも性善説ではあるが…。 

ブログ 2012/01/22

宣伝『ラ・カージュ・オ・フォール』

仕事で起用した役者さんが出演している関係で、
ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』を観劇。
          
徹夜続きの状態で臨んだため、寝てしまうかと思ったが、
眠気は吹き飛び、その世界観にのめり込んだ。
            
「ありのままの自分を認める難しさ」
「自分らしく生きることの大切さ」
「自分のすべてを受け入れてもらえる人間関係の幸せ」
  
エンディングで、
日本では珍しいスタンディングオベーションが起きた。
         
元々は舞台が大ヒットしたことから、
映画『Mr. レディ Mr. マダム』が生まれ、
これがヒットしたからブロードウェイでミュージカルになり、
それがまた大ヒットしたから、
ロビン・ウィリアムス主演のリメイク版『バード・ゲージ』にもなったとのこと。         
    
どちらの映画も若き日に観ていたのだが、
同じ話しだとは気付かなかった。
       
このテーマの深さを理解できる人生経験が足りなかったからだろう。           
    
見ること、読むことは、理解することとは違う。
理解して、はじめて自分のものになる。         
改めて見返してみようと思う。
  
                  
観客の熱気といつまでも鳴り止まない拍手を聞いて、確信した。
 
「社会的メッセージを発信する広告が評価される時代が来る」
     
               
日生劇場では29日まで。
大阪、名古屋にも行くようです。
皆さま、是非ともご覧ください。