ブログ 2013/03/25

ロケ地

ドラマ、映画、CMの良い映像は、
ロケ地の協力があって成立している。
         
しかし、深沢エーダンモールなど、
この数年、いくつかの良いロケ地が撮影できなくなった。
            
理由を聞くと、直近のロケで酷い目にあったとのこと。
(こういう場合、テレビ番組のロケであることが圧倒的に多い)       
撮影時のトラブルに起因することが多いようだが、
放映後に訪れたファンの方々のマナーによるものだったりもするらしい…。
         
残念でならない。
                    
ロサンゼルスでのロケ撮影は、引退した警官が銃を持って、
交通整理をしてくれ、ロケ隊を守ってくれる。
ロケがシステム化され、ビジネスになっている。
            
日本でも、全国各地にフィルムコミッションができて、
撮影できるところも増えはじめている。                    
              
先日、飛び込みでお願いした山間の農家でロケ撮影した。
お世話になっているのは我々なのに、 
その家の方が「お疲れでしょうから」と
自家製の沢庵と饅頭をおやつに出してくださった。 
                   
心は共鳴する。
        
いつにも増して意識して、
「借りる前よりもキレイになるように」と
制作スタッフ全員で後片付けして帰った。
                             
ロケ撮影は、人間同士の信頼関係で成立している。  
      
              
ロケ地の人々への感謝と
「次のロケ隊のために」という思いを持っていれば、   
きっとロケ地は増えていく。   
 
そして、日本でしか撮れない良い映像が増えていく。

ブログ 2013/02/17

スタンドイン

撮影現場には、「スタンドイン」という仕事がある。  
  
知らない方のために説明すると、
本番前に、俳優やタレントに成り代わって、
カメラの前に立つ人のことだ。
本番の演者さんと同じような背格好の人が起用される。
      
撮影前日は、美術セット、ライティング、カメラテストなど、
本番に向けての準備と調整を繰り返すため、
スタンドインの方には何度も何度も同じ演技をやってもらう。
そして、準備が終わる深夜まで付き合ってもらうことが多い。

翌日の本番では、演者より先に早朝から現場に入ってもらう。 
本番前は、カメラアングルと動きを最終調整するため、
前日と同じことを再び何度も演じてもらう。
 
CMの場合、1カットの時間が1秒~数秒と短いため、
すべてのタイミングを完璧に合わせるのが難しいからだ。 
 
最終準備ができたら演者と交代だ。
本番では、演者の顔が映らない肩越しのシーンなどで
スタンドインの方が起用されることもある。
            
じつに、根気の要る仕事だ。体力も要る。
           
彼らの献身的な働きなくしては、
撮影前に完璧な準備はできない。
それはつまり、
本番で最高の映像が撮れないということだ。
 
撮影が終わった後、
その労をねぎらう監督やカメラマンもいる(少数だが…)。      
  
経験からすると、
スタンドインに敬意のある制作陣が多い現場は
まず成功している。       
それは、精神的な余裕があるからだ。         
準備の何たるかを分かっているからだ。 
     
                        
先週の撮影現場のスタンドインの方は、
制作陣に敬意をもたれていた。
本番に入って来た俳優も、ねぎらいの声をかけていた。            
            
きっと、素晴らしい映像が撮れている。 
編集が楽しみだ。      
     

ブログ 2013/01/26

光と陰

ロスに1泊3日で出張に行った。 
     
着くや否や、打ち合わせが続き、
ホテルに数時間だけ滞在し、
帰国便に飛び乗った。
                
機内で、声を掛けられた。
       
「あれっ!?」 
  
行きの便と同じキャビンアテンダントの方だった。        
向こうも驚いていたが、こちらも驚いた。         
              
一時期、この航空会社の経営をV字回復させた人を
世間は「名経営者」と騒ぎ立てた。
しかし、その陰でこういう厳しい労働が…。   
                                    
激しい疲労は、肉体から笑顔を奪う。
帰国後2日間、笑おうとしても、顔が拒否した。
 
      
そのキャビンアテンダントの方には自然な笑顔があった。
笑顔にもプロがあるのだ。
             
もしくは、生まれながらにそういう顔なのかもしれない。     
       
野球部の鬼監督に叱られている時に、
「ニヤニヤして聞いてんじゃねぇ!」   
と、いつも決まって怒鳴られてしまうYのことを想い出した。
                             
おかげで、3日ぶりに笑顔が出た。