ブログ 2012/09/03

車両部

ロケ撮影日の朝は早い。
まだ暗いうちに集合し、ロケバスに乗って出かける。
      
車内で会話があるのは最初の数分だけで、
多くの人々がすぐに眠りつく。
 
ロケ終了後にいたっては、
疲労と安堵感のミックスで、道中を眠る人の割合は限りなく100%だ。
助手席で寝ている制作の人も多い。 
          
その間、車両部と呼ばれる運転手さんが
スタッフやクライアントさんを目的地へと運んでくれる。
 
運転する人は分かると思うが、
車内で寝られると眠気がうつってくる。
眠気は感染しやすい。
  
だから、         
くねくねの山道、雨の高速道路の時などは、
緊張して眠れない。
     
運転手さんがアクビをしていないか、
目をしばたたかせていないか、
つい、バックミラー越しに見てしまう。
  
運転席の横のカップホルダーに
マムシドリンクを並べたい衝動に駆られる。
 
            
なぜなら、撮影現場では、いろんなことが起きるからだ。
 
撮影途中に、外国人出演者が「契約内容と違う」と怒って帰ったことがある。

照明が落ちてきて頭に直撃したことがある。

撮影の合間の食事中に役者さんが足を骨折したことがある。

撮影中に監督が食中毒で救急搬送されたことがある。 
 
     
しかし、今のところ、
ロケバスが事故を起こしたことは一度もない。    

先週からロケが続いているが、
無事に現場に行き、無事に帰って来られている。
               
撮影終了後に俳優部が花束と拍手で見送られるように、
ロケの集合場所に安全に戻って来た車両部は
拍手喝采で見送られても良いのではないかと思っている。
  
車両部は、
ロケ現場を支えている陰の立役者である。

ブログ 2012/08/29

晴れ男と雨男

どれだけ照明技術、CG技術が発達しても、
お天道様の光は再現できない。
    
役者さんがいる周りはデータ上では光は再現できているけれど、 
カメラと役者さんまでの間に漂っている空気までは忠実に再現できない。 
   
人の目はダマされやすい。
しかし、ウソを一瞬で見破ることもできる。   
照明の光か、太陽の光か、一瞬でバレている。

昔のCMに力があるのは、
カメラから被写体までに映っているものがすべてアナログだから。
     
         
先週からロケ撮影が続いている。 
  
先週と今週はスタッフに強力な「晴れ男」がいて、
奇跡のような映像がバンバン撮れている。
          
しかし、
来週のロケのスタッフに、「強烈な雨男」がいる。
   
120%快晴だったグアムに、その雨男が飛行機でやってきた途端、
海底火山が爆発して、噴煙雲がグアム全土を覆ったという伝説を持つ強者だ。
    
春先、この雨男と一緒だった別のロケ撮影でも、
天気予報は我々を裏切り、見事に雨が降った。
     
「現場に呼ばなければいいじゃないか」と誰かが言った。  
本当にそう思う。
 
しかし、重要な役割を担っている人物なのだ。
          
どんな時にも希望はある。
来週の現場には、横綱クラスの「晴れ男」が来る。

伝説と横綱の戦い。
             
週間天気予報を見る限り、すでに「晴れ男」に軍配が上がっている。
しかし、相手は伝説だ。
 
富士山が心配だ。
    
昔は休火山だったのに、いつの間にか活火山に分類されている。
神奈川箱根山、群馬榛名山も活火山とのこと。 
むむむ…                      

ブログ 2012/08/10

中道派

五輪が商業化へと大きく舵を切ったロス五輪から
28年ぶりに女子バレーが快進撃をしている。
    
ロスの時、野球部の仲間には江上派が多かったが、
私は数少ない三屋派だった。
そんなことはどうでもいい。 
       
一昨日の準々決勝の中国戦は、
編集室でスタッフと絶叫しながら見ていた。
試合が終わった時、拍手をしすぎて手が腫れていた。
       
木村さん、江畑さんもすごかったけれど、     
最終セットにピンチサーバーとして現れた中道さんがすごかった。
     
ラスト2点のサービスエースは、
魔法のように相手を無力にした。
     
中道さんの仕事は、示唆に富んでいた。
      
彼女はベンチで戦況を見ていたのではない。
自分のチームと一体になっていたのでもない。
静かに、相手チームと自分の呼吸を合わせていたのだろう。  
             
だから、あんな緊迫した場面で、
2本連続で相手が動けないサーブを打てた。   
        
完全に合わせておいて、ズラす。
その時、山が動く。
   
武術に通じるものを感じた。
        
オリエンに完全に合わせておいて、ズラす。

そんな、クライアントが一言も発せないような案を出したい。 

嗚呼、中道さんになりたい。
   
周りには、木村派、江畑派が多いけれど、
私は、断然、中道派です。