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2013/02/17
スタンドイン
撮影現場には、「スタンドイン」という仕事がある。
知らない方のために説明すると、
本番前に、俳優やタレントに成り代わって、
カメラの前に立つ人のことだ。
本番の演者さんと同じような背格好の人が起用される。
撮影前日は、美術セット、ライティング、カメラテストなど、
本番に向けての準備と調整を繰り返すため、
スタンドインの方には何度も何度も同じ演技をやってもらう。
そして、準備が終わる深夜まで付き合ってもらうことが多い。
翌日の本番では、演者より先に早朝から現場に入ってもらう。
本番前は、カメラアングルと動きを最終調整するため、
前日と同じことを再び何度も演じてもらう。
CMの場合、1カットの時間が1秒~数秒と短いため、
すべてのタイミングを完璧に合わせるのが難しいからだ。
最終準備ができたら演者と交代だ。
本番では、演者の顔が映らない肩越しのシーンなどで
スタンドインの方が起用されることもある。
じつに、根気の要る仕事だ。体力も要る。
彼らの献身的な働きなくしては、
撮影前に完璧な準備はできない。
それはつまり、
本番で最高の映像が撮れないということだ。
撮影が終わった後、
その労をねぎらう監督やカメラマンもいる(少数だが…)。
経験からすると、
スタンドインに敬意のある制作陣が多い現場は
まず成功している。
それは、精神的な余裕があるからだ。
準備の何たるかを分かっているからだ。
先週の撮影現場のスタンドインの方は、
制作陣に敬意をもたれていた。
本番に入って来た俳優も、ねぎらいの声をかけていた。
きっと、素晴らしい映像が撮れている。
編集が楽しみだ。