ミャンマー
シンガポールに住んでいた頃、
無差別級の柔道選手のような大柄な住み込みのお手伝いさんがいた。
サリーさんは、明るく、朗らかだった。
シンガポールには、
国が政策として出稼ぎを支援しているフィリピンの方、
インドネシアの方が多いのだが、彼女は珍しくミャンマー出身だった。
国にお子さんを残しての出稼ぎで、
月に約3万円のお給料から実家へ仕送りをされていた。
それでも、現地の病院で働いた頃よりも
実家へ入れられるお金は多いと言っていた。
2009年、我が家の帰国に伴い、彼女は次の家庭へ雇われた。
しかし、相性が合わず、すぐにミャンマーへ帰ったと聞いた。
「ビルマの竪琴」の印象しかないミャンマーだったが、
行ったことはないのに彼女のおかげでいい国のように思える。
イメージなんて、そういうものだろう。
日本のイメージも、きっと海を渡った先人たち個々人が
その国で生きていくために示した勤勉さがつくり出したものだ。
あれから3年。
中国の労働賃金の上昇に伴い、
民主化へと舵を切ったミャンマーへの日本企業の進出が現実味を帯びている。
労働賃金が安く、また、仏教国ということもあり、
真面目な国民性が評価されているとのこと。
いつの日か、ミャンマーでの日本企業の広告キャンペーンをつくって、
彼女の国の経済発展に微力ながら貢献したい。
最近、スーチーさんの報道に絡んでミャンマーが取り上げられる度に、
彼女の朗らかな笑顔を想い出し、広告と経済の幸せな関係を考えている。