ブログ 2012/06/09

前提

とある不便なスタジオに行くため、最寄り駅からタクシーに乗った。
料金は880円だった。
重い10円玉と別れたくて、千円札と一緒に合計1,080円を払った。 
8枚の硬貨と入れ違いに2枚の硬貨が戻ってくる計算だ。
       
「はい、20円のお釣りね」  
  
運転手さんは言った。

2枚の硬貨は合っていたので、  

「はい。ありがとうございました」 

と反射的に答えてしまった。
すぐに、 

「お釣りが違いますよ」

と言ったのだが、

「えっ?ちゃんと 20円ですよ」
  
と自身満々に返された。

「あっ!」
を期待していたので言葉を失った…。 
    
「…200円でしょ?」
 
「なんで?」
 
「なんでって、1,080円を支払ったから」

「だから、20円ですよ」 

「………」

ダメだ。  
お互いに暗算ができる前提の会話は成立しない…。   
 
スタッフが待っている。
気持ちよくスタジオに入るためには、
気持ちよくタクシーから降りたい。           

最近知った<第三の案>というものを使ってみた。 
   
「じゃあ、100円でいいですよ」 
    
「おたく、計算できないの?」
   
確かにそういうことになる。
 
               
最終的には、メーターを見ながら、
「この80円とあの80円で互いにチャラ」
「次に、この千円とあの800円で、お釣りは200円でしょ?」  
というやり取りで納得してもらった。
 
降り際に、
「ごめんね。てっきり、お客さんが千円を出したと思ってね」
と明るく言われた。 
                  
「その場合、120円です」と野暮なことは言わなかった。           
 
                  
前提は、初めての相手には通じない。   
大切なことを改めて学べた。