ブログ 2020/02/27

盗まれた社有車…

コロナ感染を避けるため、
編集スタジオや打ち合わせ場所には、
10年前に大分県の自転車屋で特注した
社有車で行くようにしていました。 
  
見た目よりも実利を取って、
A3絵コンテが入るように
大きなカゴを付けています。
はっきり言って、カッコは良くないです。

しかし、こいつとは沢山の想い出があります。
創業時、まだ自分1人の時には、
打ち合わせの度に
大量の飲み物を買って運んだり、
大雪で交通機関がマヒした時には、
こいつのおかげで移動できたり、
深夜に乗っていたら
警察に職務質問を受けたり…と。

昨深夜、
オフィスから徒歩1分のイマジカでの
編集を終えて、
オフィス前に路駐してあった社有車を
取りに戻ると…

鉄柱と結びつけていたチェーンが切られ、
盗まれていました…。

「切れない」が謳い文句のチェーンを
切るなんて、プロの仕業としか思えません。

オフィスの一帯ぐるりを見回って、
改めて無くなっていることを確認。

疲労感と無力感で、
タバコを一服してから(そんなイメージで)、
麻布警察署に電話して、盗難届けを申し出ると、
「一ノ橋交番に行って、
詳細を説明してください」と。

夜の麻布十番は、
東京湾からの海風が吹きつけます。
向かい風に逆らうように、コートの襟を立てて(そんなイメージで)
一ノ橋へと歩いて行きました。

着くと、いつもは交番の中から目を光らせているお巡りさん達がおらず、
建物の中へ声を掛けても反応がありません。

交番の机の上の電話を取り上げると、
再び、麻布警察署につながりました。

「今、通報の対応で出て行ったから、
そこで待っていてください」

「どのくらい掛かりそうですか?」

「対応している内容にもよるので、
巡査に連絡して、折り返します。
そこで、待っててください」

待っている間に、ふと気づきました。

プロの窃盗団に盗まれたのではなく、
港区が撤去したのではないだろうか?
しかし、
「切れない」が謳い文句のチェーンを切ってまで
撤去するだろうか?

もう一度、交番の電話を取り上げ、
麻布署の人に、その可能性を問いました。

「こちらでは分からないので、
明日の朝、区役所のこの番号へ
電話してみてください」

電話番号をもらって、交番を後にしました。
巡査からの折り返し電話を待っていたことを
すっかり忘れていました。

翌朝、もらった区役所の番号へ電話をすると、
「担当は、別の部署です」と言われ、
その部署へつないでもらいました。

そして、担当者と話すと、
昨日、オフィスの一帯で迷惑自転車の一斉撤去が行われたことが判明。
その撤去にあったのか、
盗まれたのかを知るには、
13時から開く一時保管所に
連絡をする必要がありました。

そして、午後に保管所に電話を掛けると、
社有車はすぐに見つかりました。
登録番号が大分県だったことが幸いしました。

社内での打ち合わせをズラしてもらって、
品川駅から徒歩25分の保管所へ
取りに行きました。

管理人のおじさんが
「そこで券を1枚買ってください」と
指したところに、
ラーメン屋にあるような立派な券売機があり、
1つのボタンに「2,000円」と書かれてあり、
他のボタンはすべて白無地のままでした。
私の他には、誰もいません。
(こんな立派な発券機が、要るのかな?)

弊社の社有車と一緒に撤去された
他の自転車たちの多くは、
港区がやっている赤い色の
シェアリング自転車でした。

港区の放置自転車台数は、年間6,132台。

どうやら、その多くは、
放置された港区のシェアリング自転車を
港区役所の別部署が撤去している模様…。

昨日のシェア自転車使用者たちは、
所有者ではないので、
私のように引き取りに来ませんから、
いずれ、シェアリング置き場に戻すのでしょう。
(撤去する必要、あるのかな?)

帰り際に管理人のおじさんが言いました。

「お兄さんね、チェーンは必要ないよ」

「どうしてですか?」

「今はね、法律が厳しくなって、
自転車を盗る人いないから。
鍵の複製も禁じられてるからね。
鍵だけで十分だよ」

「でも、チェーンした方が
安全じゃありませんか?」

「チェーンを切ってまで持って行くのはね、
私らくらいだよ。フェフェフェ…」

帰社するまで35分間の道のり、
耳の中に残るおじさんの笑い声をかき消そうと、
社有車をこぎ続けました。

昨年は落ち着いて見ることができなかった
満開の桜の木々が続く道に出会えて、
しばし、一人で花見をできたのが救いでした。

オフィスで待つ社員たちには、
シュークリームを。
社有車には、
「高切断対抗」を謳い文句にしたチェーンを
買って帰りました。