ブログ 2019/11/12

最初の晩餐

今回は、松尾が担当します。
 
映画『最初の晩餐』が、
11月1日から公開されています。
                  
監督の常盤さんとは、
20数年前、私がフレッシュだった頃に、
制作会社ニッテンアルティのアルバイト社員として
制作のお手伝いをしてもらった縁があります。 
 
その後も、薄い関係ではありましたが、
途切れることなく連絡を取り合っていました。   
   
今回、彼の初長編映画がきっかけで、
つい先日、同郷の後輩だと判明しました。
 
九州では、特に福岡では、
先輩と後輩には絶対的な縦の関係があります。
体育会系かどうかは関係なく、
先輩の言うことは、後輩に力を持ちます。
その代わり、先輩は後輩の面倒を見なくてはいけません。
 
汽車なども無かった時代から始まったことなのでしょう。
関門海峡を越えて来た者たちの不文律になっています。
実際、私の学生時代、社会人になりたてにも「同郷だ」と言うだけで、
知らないオジさんに、ご飯をご馳走になったことが幾度もあります。
 
話がそれました。
 
本題は、こちらです。     
映画ジョーカーがヒットしています。
誰もがフタをして生きている
人間社会の中で感じている孤独と
認知されていく高揚感を鮮やかに取り出した
超優れたエンターテイメントです。
 
しかし、私は、この『最初の晩餐』の方が、
「今日を生きる力」を断然もらえました。
心の中に残る感情が圧倒的に重く、長く続きます。
 
常盤さんが頑なに主張して、
商業的なタイアップ音楽をつけなかったことも功を奏しています。
冒頭からのスローなテンポに戸惑いながら観ることになりますが、  
むしろ、その世界観が必要でした。
観終わったら、それらも計算されていたのだと感じられます。
 
子役も含めて、俳優陣が素晴らしいのです。
宣伝を担当したアートディレクターも
時間をかけて良いポスターを制作しています。
 
もっと上手に、的確に、この映画の良さを表したいのですが、
言葉にできない(したくない)感じる部分が多い超良作です。
 
今、少し生きることに嫌気がさしている人には、
この映画は効くのではないかと思います。
 
良いものには、惜しまずにお金を払う。
このことで、良いものが社会に増えていきます。
ぜひ、劇場でご覧ください!
 
私は、常盤さんにご飯をご馳走しました。
それは、先輩としての不文律でもあり、
優れた映像作家に、いつか私の企画を無条件で撮ってもらうためでもあります。